フレスコ画の描き方 フレスコ画というと、写真のような壮大な宗教画を想像する人も多いと思います。が、この宗教画をフレスコ画と言うわけではなく、漆喰壁に顔料で描く技法を用いた絵を「フレスコ画」と言います。このような壁画には、紙やキャンバスで描かれた絵とは異なる魅力があります。
私は自宅のキッチンに「なんちゃってフレスコ画」を描きました。フレスコ画は絵具のようにバインダー(接着剤)を使わないので、体にやさしい内装装飾です。なによりも、壁全体に大きな絵が描かれていると、そこが家の中であることを忘れてしまうようなイリュージョン感があり、豊かな気持ちになれます。
まずは試しに、小さめのパネルに描いてみます。
フレスコ画は、壁に塗った漆喰が乾かないうちに水で溶いた顔料を使って描きます。通常は石灰モルタルが使われます。石灰モルタルは、乾燥すると石灰石になり、堅牢になります。
フレスコ画はバインダーを使わず、顔料そのままの色なので、発色が良く色がキレイなのが特徴です。艶がなく、マットな仕上がりで、顔料の粒子そのものが見えるため、日本画のような魅力的な絵の表面になります。
フレスコ画の歴史は古く、紀元前2〜3世紀にはその技法が確立されています。ルネッサンスの頃には素晴らしいフレスコ画が多数作られています。ラファエロやミケランジェロなど有名な作家が教会に壮大な宗教画を描いています。フレスコ画は、漆喰が乾かないうちに描かなければいけないため、何人もの腕の良い絵描きが必要です。画家は、多くの弟子をつれてフレスコ画を描いていました。
フレスコ画はキャンバスのような柔らかい下地には描けません。漆喰は柔軟性がないので、キャンバスだと乾燥後にひび割れてしまうからです。
フレスコ画は通常、壁面に描かれますが、パネルに描くこともできます。
パネルは新品のシナベニヤなどのアクが少ない素材のものを選んでください。アクが出やすい木材を使うと、せっかく描いた絵が黄味がかって汚れたようになってしまいます。
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上記の材料を混ぜて、石灰モルタルを作ります。それぞれの配合の割合は、支持体によって変わります。
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<支持体が壁面の場合>
壁面に描くフレスコ画では、壁面に石灰モルタルを「荒塗り(粗い砂をまぜたザラザラの面)」「中塗り(荒塗りが乾く前に塗る)」「仕上げ塗り(中塗りの1時間程度後に塗る)」を施した後に、顔料を塗ります。
<支持体がパネルの場合>
「中塗り」「仕上げ塗り(中塗りが乾いた後に塗る)」を施した後に、顔料を塗ります。石灰モルタルは丸く握れる程度に硬めに練ります。
※漆喰の中塗りで使われる、砂漆喰を使ってみても良いと思います。
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漆喰は強アルカリのため、目に入ったり、手に付いたりすると危険です。手袋は必須です。小さめのパネルなら、コテはどんなものでも構いません。広い面をぬるなら大きめのコテを使います。コテは、中塗り用のコテがおすすめです。
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漆喰は強アルカリ性のため、アルカリ耐性のある顔料を使います。
金属系の顔料はアルカリに弱いものが多いです。土の顔料なら問題ありません。ゴールドは「雲母」を使うと間違いないです。顔料は洋画のピグメントコーナーや日本画画材で購入できます。日本画画材を扱うお店なら、量り売りしてくれますので、必要な分だけ購入できます。
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5、下絵
下絵は原寸大で作成します。フレスコ画は失敗すると、漆喰を取って塗るところからやり直さなければいけないので、下絵は重要です。下絵を小さく描いてしまった場合は、グリッド法で原寸大に拡大します。
それほど大きな作品でなければ、コピー機で拡大コピーが手っ取り早いです。スマホのアプリ「Artist Grid(アーティストグリッド)」を使ってグリッドを引く方法もあります。こちらの記事です。
原寸大の下絵に、線に沿ってキリで穴を開けておきます。
タンポ(ガーゼに顔料を包んだもの)を準備します。
※休憩するときは、漆喰の上にサランラップを置いておくと、乾燥を遅らせることができます。
このまま飾っても良いですが、フレスコ画は剥がして、別の場所に移動して飾ることができます。私はやったことがないので、詳しくはこちらの本を参照してみてください。
自宅の壁に漆喰を塗り、描いてみました。漆喰は、石灰モルタルではなく、半艶でキメの細かい日本の漆喰です。思ったよりも私の腕が悪く(笑)、描くスピードが遅いため、とても中途半端な出来になってしまいましたが、アクリルや油彩とは違う、素材そのもののような質感は、フレスコ画でないと出せない魅力です。
実際に描いたプロセスはこちらの記事です。
※詳しくはこちらのページ